レザークラフトに挑戦
No.52
2022.12.18
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【L字ファスナー付きミニワレット改 その1】
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前回、L字ファスナータイプのミニワレットに挑戦してみて、色々と判った事や、逆に判らなかった事なんかがあったのと、もう少し見た目の良い試作品を作ってみたくなったので、もう一度挑戦することにしました。
同じような物を何度も作る事には、経験値的には相応のメリットがあるので、ひょっとするとしばらくの間、同じようなミニワレットで試行錯誤するかも知れませんねw
という訳で、今回は、これまで作った物を参考に、サイズや中の構造などをデザインし直して、オリジナル・・・・というとちょっと無理がありますが、自分なりの型紙を作って、それから作業を開始しました。
【目次】
・ダイソーだけど今までとは全然別物の革。
・素人による床革についての呟き。
・とりあえずパーツを揃えていきます。
今回もダイソーで売ってた革なのですが、これはこれまでとは全く異なる革素材で、レザークラフト初心者の私にとってはかなりありがたい物です。
ちなみにですが、残念ながら2022年12月現在では、近くのどの店舗でも見掛けることが無くなりました。
ダイソーを含め、100均で売られてる革のハギレの中では最高に使い易いシリーズだったと思うんですけどね。
もっと買っとけば良かった・・・また復活しないかなぁ?
よく見ると、パッケージデザインに2種類あるので、同じ商品では無い事が判りますね。
パッケージの上部が茶色い方は、例の謎の白い革と同じ企業だと思うのですが、謎の白い革とは全然違って、床面も磨けますし、コバ処理も出来ます。物によっては刻印も出来そうです。
パッケージの上部が黒い方は、バングラデッシュ産の革だと表記されてます。これも種類が色々とあるのですが、それぞれかなり使い易い革素材だと思います。
どちらも色のバリエーションも豊富で、質感も様々な種類があったので、使いそうな物を幾つか買っておいたのでした。
これまで散々に苦しめられたwあの謎の白い革とか、もう少し大判のシュリンクのシボやワニ革タイプの押し型のある物とも全く異なります。
バングラデッシュ産のシリーズは、なんと半分にカットされて2枚入ってるタイプの商品もありました。
ポケットとかにちょうど良いサイズですよね。
柔らかいタイプもあれば、この上の写真の物なんかは、かなりパリッとした感じで、本当にバラエティーに富んだ商品群でした。
上でも書いてますが、私がレザークラフトを始めた頃には、私が良く行くどの店頭にも無かったのですが、その頃から何故か徐々にレザークラフト関連用品が増え始め、店舗によってはレザークラフト・コーナーまで整備されたりしました。
ちょうど自分自身がレザークラフトを趣味にし始めた頃と時期が被ってたので、とてもよく観察してましたし、だからとてもよく覚えているのです。
で、2022年の秋ごろですかね?始まりと同じ様に、急激に店頭から関連商品が消えていき、同時にダイソーの各店舗に設置され始めてたレザークラフト・コーナー自体も徐々に姿を消してしまいました。
本当に残念なのですが・・・
まぁ要するに、あまり需要が無かったんでしょうね。実際、大量に売れ残ってるケースもよく見掛けましたからね。
もちろん、売れ残ってる物ってのは、私ですら手を出さない様な色や模様の物だった訳ですが、お店側からすれば、そんな細かい事なんかどうでも良くて、レザークラフト関連商品が売れ残ってる、という評価でしょうからね。
私自身も最初こそ珍しいので何でも買ったりしてしまってましたが、やがて買う時に商品をちゃんと吟味する様になって、実は使い難い特性を持ってる気配がある物には手を出さなくなったりしたので、いつまで経っても売れそうにない革や金具類などが残ってる状態をあちこちで見掛けました。
で、やがて売り場が縮小され、やがて無くなってしまった、という流れなんでしょうね。
さて。
そんなこんなですが、今回は表面部分には、これらの買い置きしていたダイソーの革と、一部でヌメ革の切れ端を使ってみることに決定。
そして引き続き試作品なので、内側部分にはまだまだ余ってる床革を使うことに。
今度は床革の話になりますが・・・w
表面加工されてない床革って、強度が無いのでそのままでは使えない事は学んだのですが、布で裏打ちすればそれなりに強度は増すので、作品の内側なんかに使う場合には床革は便利だと思うんですけど、どうなんでしょうね?
どの程度の時間経過でどれくらい劣化するものなのか?は、長年掛けて自分で経験を積むか、経験者から教えて頂く以外には判らないのですが、私の周囲には経験者がいませんので、こればかりはどうしようもありません。
ササッとネットで調べた程度ですが、「ヌメ革の様には経年変化しない」という事は判るのですが、床革はどう劣化するのか?はあまり情報が得られませんでした。
もちろん、ちょっと手で引っ張った程度で簡単に千切れてしまう様な部分は使えませんし、簡単には破れない部位であっても、ちゃんと布で裏打ちして強度を高めないとダメだと思うので、余計な一手間が増えるんですけども。
スプリットレザーと呼ばれる、表面を樹脂で加工した床革で作られてるという商品なんかもありますが、素人の私には扱いが難しい様に思います。
ちなみにこの下の写真は、名もなき100均のハギレ詰め合わせに入ってた物で、スプリットレザーが全てこんなという訳では全くないのですが、使ってる内に銀面と床面の間に隙間が出来たので観察した結果、なるほど!と納得した物です。
これは悪い例。
銀面というか・・表面の層が、ペロッと剥がれてしまってます。この表面の層は、引っ張ると伸びますw 完全に樹脂で出来た被膜ですね。
その下の、革なんだろうと思われる層は手で引き千切れます。
下の部分は、恐らく床革ですよね。
よく判りませんが、加工に失敗した物だからこそ、こうやってハギレとなって100均で詰め合わせで売られてた、という事なんだろうと解釈しています。
しかしこういう物であっても、そのまま捨てられずに格安で分けてもらえるというのは、私の様な初心者にとっては、練習用素材としては十分にありがたいと思うのです。
ビヨヨヨーンw
慎重に引っ張ると、表面の樹脂部分はどんどん剥がすことが出来ますww
好みの問題は別として、こうやって、強くて薄い樹脂の被膜で補強し、同時に見た目を美しく仕上げて、床革のデメリット部分を補う技術というのは、なかなか目を見張るものがあると思います。
こうやって引き剥がせるほど強いですw
そして破れずに伸びますw
ちなみにですが、この写真の物は流石にどうかとは思いますが、この手の手法っていうのは、個人的にですが、ちゃんとこういう素材だと説明してあれば、床革の利用の仕方としては全然有りだと思う訳でして、実際にその様に扱っておられる職人さんたちも大勢いらっしゃるようです。
むしろ重要なのは、ちゃんと加工されたスプリットレザーやそれと同様の素材と、表面加工しないで布で裏打ちした物と比較した場合、どちらがどれくらい長持ちするのか?どんな風に劣化するのか?だと思うのです。
まぁともかく、誰かに買ってもらう場合は問題あるかも知れませんが、試作品や実験用途はもちろんとして、現時点では個人使いの物とかなら全然有りだと思ってます。
・・・さて、作業に戻りましょうw
今回は、これまで作った物を参考に、自分でデザインし直した物を作ってるのですが、こういった小物類の設計について学んだことなんざありませんので、結局は試行錯誤です。
内側に使う床革は、一応、簡単には引き千切れない程度には強度がある部位を選んでますが、破ろうと思えば素手で破れます。
デザイン的な面では、以前に作った時に、こうなってた方が良いんじゃね?的な事はメモを残すようにしてるので、それらを吟味しながら採用していきます。
作品の内側パーツを床革で切り出し、しっかり磨いて乾かしますと、それなりに渋い表情が出てきます。
一方、最表面に使う革は、同じダイソーの物でも、柔らかくて肌ざわりが良いものがあったので、それを選択しました。
内側の床革パーツは、予想以上に渋くなりましたw
しかもなんと、このキャメル色の革ですが、手触りがなんとなくいい感じで革(w)っぽいので、試してみた結果、思った以上に水が染み込むので、これってひょっとしてオリジナルの樹脂刻印を試す価値があるんじゃね?と予想。
水が染み込むという事は、表面が樹脂加工されてないという事と、そういう革であれば濡れた状態で圧力を加えれば、不可逆的な変形が起こるんじゃないかなぁ?という考えです。
なので、実際にやってみました。
思った通り、普通のヌメ革ほどではないですが、割としっかり刻印出来ました。
・・・いや、それは言い過ぎですかね。
まぁ正直、微妙な感じにはなりましたが、一応は刻印成功。
床面やコバを整えるといった、基本的な処理を一通り施していきます。
今まで苦しんできた、ダイソーの謎の白い革は、こういう所で必ず躓いてしまい、余計な脱線と復帰作業に時間を大量に奪われてきたのでした。
今回は、そんな余計な謎作業は発生せず、工程が順調に進んでいきます。
さて、今回はポケットの数を増やす事にしてますので、その分、分厚くなってしまうであろう箇所を、事前に削って薄くしておくことにしました。
ちなみに、革包丁は持ってませんし、OLFA社の別たちでは、まだそこまで上手に漉く技術は取得してません・・・
おっと、この道具は!?
という訳で、実は以前から何度か使ってる、革を漉く為の道具を使って漉き始めたのですが、今更ながら箱をよく見ると、なんと、ゾーリンゲンって書いてます!!
もっとよく見ると、確かに、Made in Germany って書いてましたw
あまり調べずに、レザークラフトで有名なクラフト社さんから販売されてた物を、適当に買ったような記憶しかないのですが・・・さすが、物凄くちゃんとした道具でしたww
日本で言えば、関の刃物って感じな訳で、安心感しかありません。
今回は自作の菱目打ち機を良く使ってます。
ここで使ってるポケット用の革も、それぞれダイソーの物ですが、例の半分サイズのものも使用することに。
このダイソーのシリーズの中身は、それこそもうランダムなんでしょうね。
見た目の色や手触りが本当にそれぞれ違ってるので、とりあえず、見た目的に近い色目の物を選んだのですが、手触りとかはまた全然違ってて、とても個性豊かです。
中央のポケット部分に選んだ革はパリパリに硬かったのですが、オイルを塗り込んでいくとしなやかになりました。
デザイン的には、同じ向きに切り欠く事で、床面同士を合わせたら、切込み位置が正反対になって互い違いになり、使い易くなるかなぁーと想像して、この様な感じにしました。
左側の2枚は、本体に縫い付けるポケット用で、これは半分サイズで売られていた物を、ほぼそのまま使うのですが、これは最初から非常に柔らかい革でした。
こちらは、中央に半円の切り欠きを行っています。
先に中央ポケット用のパーツを貼り合わせていきます。
このローラーですが、これは本当に必要なのか?と買う前に何度も躊躇した事を覚えていますが、持ってると持ってないとでは、こういった接着作業時の効率が全然違いますので、これは必要な道具の一つだと思います。
もちろん、技術が上がれば、他の代用品で同等以上の結果を出すことも出来るとは思いますが、初心者の私には必須です。
はい。難ありな板タイプの菱目打ちです。4mmのやつ。
私は最初に3mmのセットを買い、次に4mmのセットを買って、そこから棒上のクラフト社とSEIWA社の4mmと5mmの物をバラで買い直したのです。当然、この両社の道具はちゃんとした道具です。
で、この最初の頃に買った4mmのセットのちゃんとしてない道具は、安いから買ったとしか言いようが無いのですが、何がダメって、刃先の間隔が揃ってない、という致命的な問題を抱えてたのです。
で、その刃先の間隔をちょっと整えてみたので、今回は、完成後は外から絶対に見えない箇所に使用してみました。
どうでしょうか? 幅が一律では無いという致命傷はそんなに気にならなくなりました。
まぁ、他の人が同じことやったとして、私がそれに気付けるか?と言えば、絶対に気づけないと思う程度の差しかないようには思うんですけどね。
という訳で、今回はこの辺で。
ガチでお金が無い、というこれまでの人生でもっとも厳しい状況に直面してるからでしょうけども、ダイソーの革の話や、床革の話になるとついつい長くなってしまいがちです。
逆に言うと、ほんの数年前なら適当に素材を買って適当に遊んで終わりだったかも知れませんので、そういう意味では、これも何かの縁でしょうか?w
次回、引き続き、L字ファスナー付きミニワレット、オリジナル版(というかアレンジ版?)の続きです。
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