レザークラフトに挑戦
No.53
2022.12.26
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【L字ファスナー付きミニワレット改 その2】
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引き続き、改良型のL字ファスナー付きミニワレットに挑戦しています。
今回の改良部分の一つであるマチについて。
ファスナーの取り付け方をL字にすると、片側のマチ部分が丸出し状態になりますが、ここを縫い合わせてしまう、というデザインと、敢て見せるデザインがある訳でして、今回も、前回同様に、敢て見せるデザインを採用します。
前回は、中央ポケットを両側から2枚のマチパーツで挟んで縫い合わせたので、ポケットとマチのコバ面が露出しました。
そのコバをしっかり磨くことで、革の美しさを演出できるのですが、今回は1枚のマチパーツで包み込んでしまうことで、コバ面を露出させずに銀面だけがむき出しになる仕上げを目指しています。
【目次】
・マチパーツを作ります。
・おや?また何か間違ってしまう・・・。
・ヌメ革でマチパーツを作り直します。
今回は、マチ部分からです。
ファスナーを閉じてる状態だと、片側はファスナーの中に隠れるので、そこまで見栄えを気にする必要性は無いとは思うのです。
なので、ファスナーで隠れる側に関しては、前回と同じ様に中央のポケットを両側から挟み込むデザインを採用。
一方の、常にむき出しとなる側は、染色したヌメ革でスッポリ挟み込んでしまうタイプのデザインを採用するので、まずその為にタンローのヌメ革を切り出していきます。
はい、切り出しました。
これを染色していくのですが、まぁ毎回のこととはいえ・・・順番っ!!w
染色してから切り出さないと、濡れたり乾かしたりで形や大きさが変わるんですってば!
・・・まぁ、もうやってしまったものは仕方ありません。
あとで適当に微調整すればどうにか・・・
反対側の2パーツに分かれる方は、ファスナーに隠れる部分でもあるので、見た目よりも柔らかで肌ざわりも良いという性能を取って今回もヤギ革を使おうと思います。
こんな感じに取り付けるイメージです。
で、中央ポケットを包み込む側のマチパーツを染めてみました。
割と良い色に染まったのですが・・・黒い染みが出来てしまったのと、皺の部分もえらく濃い染みになってしまってますよね。
実は理由がありまして・・・
色んな色を試してる内に、床面側に見過ごせないレベルの染みが出来てしまい、それを誤魔化そうとして、床面を焦げ茶色・・・というかほぼ黒に染めたのです。
しかしその結果、今度はそれが銀面側の傷のある部分に染み出てきてしまった、というアホな事をやってしまったのでしたw
黒い染みは気になるのですが、全体的な色については、よくこの色に染まったな!と思うほどに良い色になったと思うので、このまま使うことにしました。
こうやって各パーツを並べると、マチの色が少し明る過ぎたかな?とは思うのですが、この程度ならばヨシ!でしょう。むしろ、格好良く感じます!
まぁ・・・迂闊にヨシ!とか言わない方が良いと思うんですけどねぇ・・・
本体に直接縫い付ける方のポケットですが、底辺部分を先に縫っておきました。
まぁまぁ上手く縫えたと思います。
これに中央のポケットパーツを取り付けるイメージはこんな感じです。
上から見て左側は常に外から見えるデザインで、1枚のマチパーツで、中央のポケットを包み込む構造になります。
反対側は、従来通り、2枚のマチパーツを使うので、コバ面がむき出しになりますが、普段はファスナーで隠れる部分なので、それはそれでOKというデザインです。
財布なんかの基本的なデザインは、素人の私が考え付く様な物は、とっくの昔から世の中に存在してますので、そういった先人の知恵をこうやって学ばせて頂きながら勉強を続ける、という事になります。
もちろん、現代のプロの職人さん方は、そんな中からでも更に新たなデザインを生み出していかれる訳で、その才能たるや、ちょっと想像がつきませんよね。
ところで。
こうやって完成のイメージを確認してて思ったのですが・・・
・・・これだとマチパーツ、短いんじゃね?
中央のポケットの底部分がかなりはみ出してますよね??
並べてみると、一目瞭然ですね。
パーツ同士の高さが5mmくらい違ってます。
本体側のポケットと比較してもやはり5mmくらい短いです。
でも、ちゃんと測って型紙を作ってやってる訳ですし・・・
と、調べた結果、マチ部分に関しては、間違って前の作品の型紙のサイズを元に作ってしまってた事が判明。
今回の作品は以前に作ったファスナー付きの2作品よりも、全体的に少し大き目に設計してますからね、そりゃ短くなりますわなw
えーと・・・
かなり考えてみたのですが、どう考えてもリカバリーが出来ません。
悩んでても仕方が無いので、マチパーツを作り直す事に・・・。
ボツにするのは仕方無いとして、折角良い感じの色に染めることが出来たのですが、適当にやったので、どうやれば同じ色に染められるのか判りません。
そこで、今回は、小さな端切れを沢山使って、目的の色にする為のレシピを残すことにも挑戦してみました。
それと、2枚組のマチパーツの方についても、最初はヤギ革を使う予定でしたが、こちらも同じ原因でサイズが違ってますので、これもヌメ革に変更して作り直すことにしました。
その方が統一性が出ますしね。
タンローのヌメ革を予定より少しだけ大き目に切り出して、ちゃんと染色の工程が終わってからサイズを測って切り出す、という基本を守ることにw
色を確認しながら、何度も上塗りしては乾かして、また色を確認して、を繰り返します。
色を確認する為の小さな端切れが増えてきましたが、マチパーツを取る予定で切り出したハギレ本体の方も良い感じに染まってきました。
まだ乾いてない状態。
完全に乾くまで待たないと色の具合が判らないので、この作業には何日も掛かってしまうのですが仕方がありません。
毎日作業出来る訳でも無いので、実質2週間ほど掛かってしまいましたw
かなり目指した色になった事が判ったので、染色の工程はこれで終了。
一応、銀面の仕上げ完了。
床面もまぁOKでしょう。
レザーコートやオイルを塗って、しっかりと色止めを行い、最後にもう一度しっかり乾燥させて完成。
床面には、若干の色染みができてしまいましたが、まぁこの程度は許容範囲としました。
一回り大型化したマチパーツたち。
色も少し落ち着いた感じの仕上がりになって、前より良くなったと自己満足w
サイズミスしたパーツは少し明る目だったのですが、今回、作り直したパーツの方が色は抜群と言える仕上がりになりました。
残念なのは・・・というか、案の定と言いますか・・・
色のレシピが完成しなかった、という事ですw
途中で微調整を繰り返してた時に、記録を飛ばし捲ってしまって、どのタイミングでどの色をどれだけ足したか判らなくなってしまいました。
私の場合、独自レシピの料理でも同じなので、驚きはしませんが、やはり同じく残念ではありますねw
料理については、若い頃から何度も作ってるメニューが多いので、感覚で同じ味を出せる域に達していますが、家族に伝授することが出来ず、家族から長い間すーっとクレームを受けてる始末ですw
こちら側としても、さっさと家族に伝授して楽をしたいのですが、ついつい自分のペースかつ自分のやり方で押し通して、結局は記録を残せないまま完成させてしまう、という事の繰り返しです。
まぁ、しゃーないw
結局、2週間ほど遠回りしてしまいましたが、ようやくパーツが完成したので、合体させていく工程に入ります。
2枚のマチパーツの方は、まぁ、いつも通りなので、これはこれで良いとして。
1枚のマチパーツの方は、どういう手順でやれば良いのでしょうかね??
よく判らないので、慌てて接着してしまわないように、何度も確認しながら進めることに。
ともかく、菱目を打って行かないと進みませんので、マルチステッチンググルーバーを出動させて、菱目穴の位置決めを行います。
ラインに沿って、菱目打ちで跡をつけて、菱錐で貫通させていく、といういつも通りの手順を踏みます。
とにかく焦らず丁寧な作業を心掛けました。
菱錐についでですが、最近ではこの清原株式会社さんのBAG MEISTERの物と、クラフト社の物を2種類使う様になっています。
基本は使い慣れたこちらのBAG MEISTERを使ってます。
ところが実は、少し前の工程で、クラフト社の菱錐(細)を使っています。
両社の違いですが、刃の形状が違います。
BAG MEISTERの方は、刃先の幅が根本まで変わらず同じままです。
・刃の長さは約2cm。
・刃の幅は2mm。
・刃の先端から約4mmの地点で幅が2mmになります。
この形状なので、あまり何も考えずに根本までブスッと突き刺せるのです。
クラフト社の菱ギリ(細)の方は、刃先が先端から根本に行くにしたがってほんの少しだけ太くなります。
・刃の長さは約3cm。
・刃の幅は2mm〜2.5mm。
・刃の先端先から約1cmの地点で幅2mm。約2cmの地点で幅2.5mmになります。
クラフト社の方は、刃の長さが長いので、突き刺す際に少し慎重にならないと、刃を折ってしまいそうな気がするのと、0.5mmとは言え、菱穴が太くなってしまいます。
ところが、刃の先端から1cm地点までは、幅が2mm以下なので、慎重に使えば、BAG MEISTERのものより細い穴が打てる、というメリットがあるのです。
どちらも、このサイトで言う所の、ちゃんとした道具ですので、使い易い方を選んで使ってます。
まだちゃんと使いこなせてませんけども・・・
さて、ここからは絶対に失敗したくないので、縫う順番や、その際の注意点を何度も何度も確認してから接着を行いました。
もう一度、同じ色に染める自信がありませんし、何よりも時間が掛かり過ぎます。
しかも、最大の難関はファスナーの縫い付けであって、ここではありませんからねw
という訳で、今回はこの辺で。
かなり遠回りすることになってしまいましたが、結果オーライという事で。
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